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引き算のガーデン例 その5

シノグロッサム(Cynoglossum amabile)

ムラサキ科 オオルリソウ属

和名:シナワスレナグサ(支那勿忘草)

英語名:Chinese forget-me-not

花期:4月~6月 多年草
草丈:30~50cm 

原産:中国南部

今年の春に苗で100株ほど植え、春の終わりから夏の中頃までの間、ブルーの綺麗な花を楽しませてくれました。暑くなると花が終わり、種をたくさん実らせました。

種の粒は比較的大きく、ズボンや上着の袖にびっしりとくっつく性質があります。

その種を採取してお盆過ぎにガーデンの空いているところに直播きしてみました。

 

この花は真夏と真冬を除いて、春・秋の2回

インディゴブルーの美しい花を咲かせてくれます。

春に咲いた花が実り、それがこぼれて秋には

新しい芽が出てきます。

寒さにはめっぽう強く氷点下15℃にも下がる

佐久市でも十分に越冬できます。

 

 

  こぼれ種から出て来たロゼット状の株

このところ佐久市は朝の気温が-3℃から-5℃程度まで下がり、強い霜に見舞われています。

よって、下の画像のように花が終わった部分などはダメージを受けてしまいました。

これは佐久市の場合であって、霜の影響のあまりない関東地方などではまだまだずっと花を楽しむことが出来る植物だと思います。

これから申し上げる事は、植物を育てる上でとても大事なポイントになります。

よく【霜除け】という言葉が使われますが、植物は植物自身の葉や茎により自らの大切な部分を霜などの寒さから守るようになっていると思うのです。

上の画像は”試行的”に生え際からバッサリと切り取って引き算をしたものです。

一夜の霜で完全に株がご臨終を迎える事となってしまいました。

つまり、自分で大切な生え際の部分を霜から防御することが出来ずに絶えてしまった状態です。

 

同じ場所に咲く植物でも、その植物を冬越しさせて来年も楽しみたいと思うならば、切り込み方や引き算の仕方をよくよく考えて判断しないと失敗してしまいます。

普通に考えてみれば、植物は季節に合わせて葉を落としたり、葉を枯らせて休眠したりするのです。

その植物のルールを破っているのは、私ども人間が安易に考えて手を出してしまう事であり、植物にとっては大変迷惑な事になってしまうのです。

場合によると枯れてしまったり、葉は残っていても翌年花を咲かせる事が出来なくなったりします。

極めて単純に言うと、緑の葉が元気である状態では植物は光合成を行っています。

つまり緑の葉を必要以上に取り去ってしまう事は光合成を妨げている事になり、植物にとっては良いはずがありません。

 

光合成を引き続き行わせる事と、霜除けをする目的を含めて考えた場合、今回は終わった花穂部分だけをカットすることにします。

しかし、この先寒さが更に厳しくなると植物のいたむ部分も増えてきますのでその場合はもう一度カットを行います。いきなり-15℃になる訳ではないのでカットも寒さに合わせて徐々に行い寒さに順応していくようにするのです。

<1度目のカットの様子>

<2度目のカットの様子> 今回は事例として同じ日に行いました

引き算』で造るガーデンの考え方の中にも、このように植物の性質をよく理解し、その植物と育っている環境に合った引き算が必要になると思われます。

私は植物に対してひとつの行動を起こす前に、頭の中で3回ほど

 「これで良いのか、これで正しいのか、どうするべきか」

と考えてからやるようにしています。

このような考え方で日々植物に向き合っていると、逆に植物が私に勉強させてくれる機会が多々ある事に気づかされます。

書物からの知識だけでなく、実際皆さんの目の前にある植物の葉の色や様子を観察しながら、その意味を考えてみる機会を是非持ってみて下さい

 

                                                 2014年11月20日

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